まなの書評ブログ

本や映画のネタバレOKな方向け

角田光代「平凡」感想

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もし、あのとき〇〇していたら…

おそらく誰しもが一度は考えた事があるのではないでしょうか。
この本はそんな選択肢の後に存在するものをテーマにした6つの短編です。
6つに分けて感想を書いていきたいと思います。



平凡 (新潮文庫)

平凡 (新潮文庫)

  • 作者:角田 光代
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/07/26
  • メディア: 文庫




以下、ネタバレです。

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ミヒャエル・エンデ「モモ」感想

こんにちは、まなです。

今回は子供の頃の思い出の本を読み返したので感想を記したいと思います。

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ミヒャエル・エンデ「モモ」


あまりにも有名なミヒャエル・エンデの代表作。
はてしない物語」と同じくらい子供の頃はこれを読んで育ちました。
ですが、再読したら内容をすっかり忘れていて、新鮮でした。
小さい頃はただのファンタジー小説として読んでいたのに、大人になって読むと社会風刺的な内容に身がつまされる思いです。


人々から「時間」を奪う灰色の男たち――時間どろぼう
盗まれた時を取り戻すために、主人公の女の子モモは案内人のカメ・カシオペイアと共に冒険に出ます。


以下ネタバレになります。

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札幌のこだわりの書店「かの書房」に行ってみた!

こんにちは、まなです。

本日は、札幌市豊平区にある「かの書房」に行ってきました。

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この書店は先月の3月19日にオープンしたばかりの書店で、小さめの店構えながらもこだわりの棚作りをされていて、とても充実した時間を過ごせました。

 

かの書房

住所:北海道札幌市豊平区美園3条8丁目2-1
電話:011-376-1856
FAX:011-376-1857
営業時間:10時~21時
定休日:不定

ブログ kano-syobo.hatenablog.com
Twitter @kanosyobo_1216

 

 

きっかけはインターネットのニュースで、若い女性がかの書房と言う新刊書店を立ち上げたと言う事を知り、自分でも足を運んでみました。

今は本屋さん冬の時代、書店はどこも経営が苦しいと言われています。

そんな中、書店を立ち上げたと言うことに私は感動しました。

 

 

お店に入ってみると、八坪のお店の中に、様々な本が取り揃えられていて驚きました。

児童書、文学、漫画、ライトノベルからなろう系小説まで取り揃えられていて、文学誌のコーナーなどもありました。

 

棚に並ぶ手作りのポップはかわいらしく、個人経営ならではと言えるようなピックアップでした。

 

中でも私が一番注目したのがこちら。

 

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文鳥文庫

 

このシリーズは全部で第三弾あるらしいのですが、こちらは第二弾と第三弾、どんなものかと言うと、この本実は箱型になっていて、開くと

 

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こんな可愛らしい薄い紙に包まれた、短編小説が出てきます。

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忙しい現代人にうってつけ、どれもこれも短いページ数の短編で、他ではなかなか見ない本の形です。

こんなこだわりの逸品を扱ってらっしゃるとは、本好きにはたまりません。

 

文鳥文庫公式サイト

bunchobunko.shop-pro.jp

 

 

 

ラインナップはこんな感じでした。

 

第二弾

『刺青』谷崎潤一郎

『雪もち』幸田文

『四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』村上春樹

『雨のなかの噴水』三島由紀夫

『初恋』尾崎翠

『メリイクリスマス』太宰治

『賢者の贈り物』オー・ヘンリー 柴田元幸=訳

『バッタと鈴虫』川端康成

 

第三弾

一人二役江戸川乱歩

『東京』乙一 (書き下ろし)

ナサニエル・ホーソーンウェイクフィールド/柴田元幸

『夜釣』 泉鏡花

『鏡』 村上春樹

『藪の中』 芥川龍之介

山月記中島敦

『瓶詰地獄』 夢野久作

 

 

 

どうですか、もうたまらないラインナップだと思いませんか。

乙一さんの作品はなんと文鳥文庫書き下ろし!

乙一さんファンの私は大変に喜びました。

 

こんな素敵なものを置いてくれるなんてにくい、にくいですかの書房さん。

 

中には児童書や、手作りの本もあり、

 

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こちらは、北海道江別市の中学校、立命館慶祥中学校の文芸部の部誌。

無料配布していたので、もらってきました。

 

中を少し読んだのですが、学生ならではの瑞々しい文章が並んでいて、こちらも活字好きにはたまらない逸品。

 

 

 

滞在時間はそんなに長くなかったのに、ここでしかお目にかかれないような品揃えにくらくらして、お店を後にしました。

お店を出た後一言「た、たのしかった…」と呟いてしまったほどです。

 

 

どうでしょうか、かの書房さん、お近くにお立ち寄りの際にはぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

きっと充実した時間が過ごせます。

 

私もこれからもたくさん足を運びたいと思います。

 

がんばれ!かの書房さん!応援してます!

瀬尾まいこ「卵の緒」感想

こんにちは、まなです。

春の陽気みたいにポカポカとあたたかい小説を読みました。

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瀬尾まいこ「卵の緒」


瀬尾まいこさんは、私は知り合いの方に勧めてもらって今回初めて読んだのですが、どうやらこの作品がデビュー作らしいです。
「卵の緒」と「7'sblood」の二編からなる、やさしい家族の物語です。


卵の緒 (新潮文庫)

卵の緒 (新潮文庫)



以下ネタバレになります。

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ミヒャエル・エンデ「はてしない物語」感想

こんにちは、まなです。

今回は私が子供の頃大好きだった児童書を再読したので、紹介したいと思います。

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ミヒャエル・エンデはてしない物語

物語の主人公は気弱で、見た目も冴えなくて、自分に自信のない少年バスチアン。
学校ではみんなからいじめられ、本を読んだり物語を自分で作ったりするのが彼の唯一の楽しみです。
そんな彼は、いつものようにいじめっこ達から逃げてある古本屋に駆け込みます。
そこで出会った一冊の本にどうしようもなく魅せられて、ただ本を買うお金など持っていないバスチアンは本を盗み出してしまいます。
それは「はてしない物語」と言う一冊の本。
そこから彼の不思議な物語は始まります。


この本のすばらしい所は、まず装丁が本の中で描写されている装丁と全く同じ所です。

バスチアンは本をとりあげると、ためつすがめつ眺めた。表紙はあかがね色の絹で、動かすとほのかに光った。パラパラとページをくってみると、なかは二色刷りになっていた。さし絵はないようだが、各章の始めにきれいな大きい飾り文字があった。表紙をもう一度よく眺めてみると、二匹の蛇が描かれているのに気がついた。一匹は明るく、一匹は暗く描かれ、それぞれ相手の尾を咬んで、楕円につながっていた。そしてその円の中に、一風変わった飾り文字で題名が記されていた。
はてしない物語と。

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どうでしょう?
この装丁、本当に動かすとほのかに光り、中は二色刷り、蛇の模様までそっくり同じ。
手にしているだけでも楽しくなってしまいます。

バスチアンがわくわくしながら読み進めると、そこに待ち受けているのはファンタージエンと言う国の危機をめぐる、めくるめく冒険の物語。そしていつしかバスチアンはその冒険に巻き込まれていくのです。

本当に素晴らしい世界観、今でも語り継がれるベストセラーなだけあります。

文庫版も出てますが、私はやっぱりこのあかがね色の装丁のハードカバー版をおすすめします。

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

それでは、以下ネタバレになります。

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綿矢りさ「かわいそうだね?」感想

こんにちは、まなです。

いよいよ私の住んでいる北海道も春めいてきて、冬の重たくて乾いた空気から解放され、清々しい天気が続いています。
寒い時は読書もあまり集中できないのですが、あたたかくなってくると絶好の読書日和。
色んな本を並行してすらすらと読んでいけるような、軽やかな気分です。

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綿谷りさ「かわいそうだね?」


読みました。

表題作の「かわいそうだね?」と「亜美ちゃんは美人」の二つのタイトルで構成されるこちらの小説。
簡潔に、あえて月並みに言うと、とても面白い。

実はここの所読書スランプが続いてきたのですが、お天気にくわえてこの本を読んだ事でスランプ解消されました。

元々綿谷りささんの小説は好きで「蹴りたい背中」や「夢を与える」なども大好きなのですが、この作品が一番好きになってしまったかもしれません。

「かわいそうだね?」は、主人公の樹理恵が付き合っている彼氏・隆大の家に元カノのアキヨが転がりこんできます。
もちろんその状況を嫌がる樹理恵と隆大とアキヨの三角関係の物語です。
あらすじだけでもすごいインパクトです。私だったら発狂しちゃいそうな状況です。

「亜美ちゃんは美人」は高校の入学式でたまたま並び順が前後だったさかきちゃんと亜美ちゃんが仲良くなり、次第に親友となります。
しかし、さかきちゃんは美人でいつも得をしている亜美ちゃんが好きではなく、たびたび嫉妬の炎に焦がれます。
そんな二人が大人になるまでの友情の物語です。

以下、ネタバレになります。

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桜庭一樹「少女には向かない職業」感想

こんにちは。
久しぶりの本の感想です。

今までは記事の更新と言う形で、外部さんの方で本を紹介させていただいてましたが、これからはこちらのブログで紹介させていただきます。

今回はこちらの本

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桜庭一樹少女には向かない職業

中学二年生の一年間で、あたし、大西葵十三歳は、人をふたり殺した。

衝撃的な書き出しで始まるこの物語は、凄惨で哀しくて、痛みを抱えた少女の物語。

アルコール中毒の義父に育児放棄の母、傷ついた少女はある日あまり話したことのないクラスメイト・宮乃下静香と殺人計画を立てる。

以下ネタバレになります。

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